弘法寺
弘法寺は千葉県市川市の北部に建ち、日蓮宗本山のひとつであり、天正9年(737年)に奈良県の偉人でもある行基が真間の手児奈伝説を聞き手児奈の霊を慰めるために造寺したとされている由緒ある寺院です。そんな境内の一角、月見広場や山門からは市川駅を始めとした市川の夜景を眺めることが出来ます。
真間の手児奈(てこな)かつて市川の高台の下の辺りまで海だった頃、真間の辺りは真間の入江と呼ばれ港があったそうです。その頃の真間の辺りの井戸の水は潮が混ざり飲むことが出来ませんでしたが、一か所だけ「真間の井」と呼ばれた井戸だけは綺麗な水が涌き出て飲むことが出来ました。そのため周りに住む人たちは、この井戸に水を汲みに集まりに来ていたので、井戸の周りは今でいう社交場のようでした。そんな水汲みに集まった人たちの中に格別に目立って美しい「手児奈」と言う娘がいました。手児奈は決して着飾っているわけでもなく、むしろ髪も梳かさず麻の着物に履物すら履かないという粗末な身なりでしたが、その姿は上品で満月のように輝いた顔であったそうで、都の着飾った姫よりも美しくみえたそうです。覆い茂っていたアシですら「手児奈の通る道のアシだけは手児奈の手や足に傷がつかないよう葉が片方にしか出て来ない」「心の無いアシですら手児奈を美しいと思う」などと言われるほどでした。 |
夜景風景
中世、弘法寺が造寺された頃は、付近を流れる真間川より先は海であったそうですが、長い年月を経て陸地となり今では海までは10㎞以上も離れてしまい高台からは海を眺めることは出来ません。しかし夜の寺院特有の、ゆっくりとした時間の流れる空間で遥か彼方、真間の入り江や手児奈の悲報伝説に想いを馳せるのも一興です。
住所 |
千葉県市川市真間4-9 |
最寄り駅・バス停 |
京成電鉄 国府台駅より徒歩約10分 |
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