2024
12
Jun

撮影機材・道具・その他(Equipment・Tools)

ニコン NX Studio の簡単な操作方法

ニコン NX Studio の簡単な操作方法

コンNX Studioの簡単な操作方法についてまとめてみました。
一応実際にNX Studioを操作していますが、普段はAdobeやDxOを起点に各種ソフトを使っているので、書いている本人も手探り状態なのをご承知ください。また情報に間違いがある場合はお知らせください。

ニコンNX Studioはその名の通り、ニコンが提供しているフリーの画像編集ソフトで、当然ながら使用可能なファイルもニコンのカメラに対応したもの(NEF,NRW,JPEG,TIFF,HEIF,NEFX,MPO)になり、キヤノンであれば.CR3のような他社のRAWデータを開くことはできません。


現像ソフトを利用する場合はRAWが前提

NX Studioなどの現像ソフトの利用が前提とする場合は「RAWで撮ってTIFFで保存、印刷やWEB媒体へはJPEGで出力」が基本になります。下記のRAWデータの部分でも記載していますが、画像は食パン一斤から既に切り出ものなので、別の部分が欲しいと思っても既に存在しないのに対し、RAWデータは食パン一斤をそのまま持っているので、任意の部分を切り分けることができます。
またRAWデータはいくらパラメーターを弄っても元のデータは一切劣化しないので、満足いくまで何度でもやり直してパラメーターを弄ることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NX Studioにおいてもすべての調整ができるのはRAWデータのみです。選択肢の右側にRAWのアイコンが付いているものはRAWデータのみでしか使用できません。


ファイル形式について

NEF,NRW

この2種類はRAW形式と呼ばれるもので、RAW(生)の名前の通り、カメラのセンサーが捉えた光をそのまま保存しているもので、JPEGやTIFFと言った画像よりも幅広い情報を保存しているので、撮影後の編集に適しています。いわば、食パン一斤から必要な部分を切り出したものがJPEGやTIFFで、一斤のままなのがRAWです。そのためJPEGやTIFFで切り落とされてしまった部分もRAWは保持しているので、現像ソフトで好きな部分を切り出すことができます。
因みにRAWは厳密には画像ではないので、カメラのモニタなどで確認できる画像はプレビュー用に埋め込まれたサムネイル画像で実際のRAWデータを表示しているわけではありません。

TIFF

可逆圧縮形式の画像で、JPEG画像よりも多くのデータを残したまま画像にできることや、可逆圧縮すなわち、圧縮したデータを元に戻しても劣化しないため、RAWデータの編集後の保存や、JPEGよりもより綺麗な画像が必要な場合に選択されます。ニコンの場合はミドルクラス機以上の場合はTIFFで保存が選択できますが、これは撮影時に完結するがJPEGよりは綺麗な(情報量の多い)画像が必要な場合に選ばれます。

JPEG

非可逆圧縮形式の画像で、画像を保存するたびに元の画像より劣化してゆきます。ただしデータを軽くすることができるので、RAWデータの最終出力や、軽いデータが必要な際に選ばれます。

極端な例にはなりますが、JPEG画像をWindows付属のペイントソフトで単純に開いて上書き保存をしただけですが、保存前後では容量が大幅に軽くなっています。元となるJPEGをペイントソフトで1度開いて保存した時に容量が半分近くに減り、再度開いて保存した画像で更に減りました。これが非可逆圧縮の特性で、人の眼には見えにくい色や明るさの微細な差を均一なものとして扱うことで容量を減らしています。

元のJPEGとそれをWindows付属のペイントソフトで開いた後に保存したものを、Photoshop上でレイヤー表示させ、差の絶対値で表したものです。差の絶対値は画像同士の差異がある部分が色づきます。
これだと真っ暗で全く差がありませんよね。

拡大すると、うっすらと黒以外に何か見えてきます。

比較だと拡大できないので、上の画像の差の絶対値だけの画像です。クリックして開いて見て下さい。Wordpressの設定で長辺2560pixに縮小されていますが、開くと全体になんだか色づいているのが判るはずです。これが再度画像を保存した際に間引かれて他の色に置き換えられたピクセルです。正直1度保存し直した程度では全く差は判りませんが、実際には人の眼で見て気付きにくい部分のデータを減らすことで容量を軽くしています。これを何度も繰り返すと人の眼で見ても明らかに画像が劣化していくのが判るようになってきます。これが保存前より後のデータを軽くしていく非可逆圧縮です。
JPEGは最終的なアウトプット以外で使わない方が良い理由が分かるかと思います。

HEIF

非可逆圧縮の画像で、JPEGと異なり10bitの階調で保存できるのでより明暗差の激しい画像であっても白飛び黒潰れを起こすことなく画像として記録可能できる。ニコンではHDR規格のみ対応しているので、HDR対応のモニタが必要だが、SDR規格への下位互換性をもっているためHDR非対応のモニタでも違和感なく見ることができます。

NEFX

NX Studioでピクセルシフト撮影をした画像を処理したものを出力した際に保存される画像形式です。

MPO

非可逆形式の画像で、同じJPEG画像を2枚保存することで3D画像として見ることができる画像形式です。

 


現像ソフトは左から右

 

基本的に現像ソフトは左から右に操作します。
画面左のフォルダを選択し、下部のサムネイルで現像したい画像を選択し、右側のパネルで現像してゆきます。

1,フォルダを選択
2,フォルダ内の画像から現像したい画像を選ぶ
3,現像する
4,出力する

 

覚えておきたいポイント

 

 

 

各アイコンはマウスオーバーすると、そのアイコンで何ができるか表示されます。
現像中に操作に迷ったらマウスオーバーすると、一々ヘルプを開かなくて済むので便利です。


色空間を指定する

カメラの設定にもありますが、ざっくり言ってしまうと扱える色の量の差で、sRGBは扱える色の量が少ない代わりに、あらゆるモニターで正しく表示することができ、AdobeRGBは扱える色の量が多い代わりに、AdobeRGB対応モニターでしか表示できません。(正しくは、AdobeRGBの色情報を持つデータを非対応モニターで表示させると色がくすむ)。
そのため自分が使うモニターがAdobeRGB非対応の場合はsRGBで作業をする必要が有ります。
ディスプレイにはsRGB100%対応や、AdobeRGB99%対応などを謳っているので、自分の使用する機器がAdobeRGB対応か確認してください。

 

ctrl+kで環境設定を開いてカラーマネジメント画面でNXStudioの設定が、どちらの色空間になっているかを確認します。

 

 

 

 

 

 

 

AdobeRGB非対応の場合はNikon sRGBを選択します。

 

 

 

 

 

sRGBに設定したうえでチェックを入れると、例えば撮影データがAdobeRGBであってもsRGBに変換されます。

 

 

 

AdobeRGBで現像して、出力時にsRGBにしたい場合はここにチェックを入れると出力データはsRGBになります。


ヒストグラムについて

 

 

 

 

 

 

 

ヒストグラムとは画面上の明るさの割合を示すグラフで、横軸は明るさを、縦軸は量を表しています。上の画像は下から明るさ、青色、緑色、赤色を別々に表示しています。
例えばヒストグラムの山が右側に寄るほど明るい画像、左側に寄るほど暗い画像と言う事が読み取れます。
カメラにヒストグラムを表示しておけば、画面の照度に左右されることなく数値として見ることができるので、明るい日中などモニタが見えにくい場面でも、画面自体の明るさに惑わされることなく露出を読み取れます。
ただし、ヒストグラムの山が極端に左右どちらかに振れているからと言って不正解とは言えません。ヒストグラムが示すのはあくまでも、画面全体にどれくらいの明るさのピクセルがどのくらいあるかだけです。

 

 

 

 

 

 

 

ヒストグラム右上のタブからRGB,R,G,B,明度が選択できますが、通常は明度のみにしておけば問題ありません。

ウィンドウ左上のウィンドウ部分でヒストグラムを表示にチェックを入れるとパレットではなくウィンドウ上に個別にヒストグラムを表示させることも可能です。

ウィンドウ上に独立表示させたヒストグラムとパレット上のRGBL混在のヒストグラム。

露出のみを変えて写している2枚の画像のヒストグラムです。

4500万画素機なので、ピクセル数は約4500万個あり、そのピクセル一つ一つがどこの明るさに有るかを示しています。この場合だと画像を見て判る通り、手前の木々は暗く、照明や空は極端に明るく一部白飛びしているので、ヒストグラムも同じように、明るい部分と暗い部分にそれぞれ山が出来ています。


ホワイトバランスの設定画面

 

 

 

 

 

 

 

色温度は、数字が小さいほど画像が青味がかり、大きいほど画像が赤みがかります。
色味は、プラス側に行くほど緑がかり、マイナスに行くほど紫がかります。
本来は色被りを起こした画像を正しい色に戻すためのパラメーターですが、それを逆手にとって本来の色とは異なる色にするためにも使われます。

画像は中央が撮影時のホワイトバランスで、左右はそれぞれの数値を最大まで動かしたものです。

 

 

 

 

 

 

またグレーポイントサンプルツールを選択し、画像の白もしくは薄いグレー(正確には18%グレー)部分をクリックすることで、クリックした部分の色がグレーになるように調整できます。

画像はイメージです(ホワイトバランス以外にも各種補正しています)。左の撮った画像は5100Kで、白い部分(右下の道路の白線が見易い)が本来の白ではありませんが、ホワイトバランスを調整したものは白が白として写っているのが分かると思います。


露出補正の設定画面

露出補正 明るさと彩度

露出補正はプラス方向に動かすと明るく、マイナス方向に動かすと暗くなります。
2つ下の項目の明るさと色の調整でも同様のことができますが、露出補正は画面全体を均一に明るくするのに対し、明るさと色の調整はシャドウもしくは色の濃い部分を残したまま全体を明るくしています。


アクティブDライティングの設定画面

 

 

 

人の眼で見た時に近い画像に仕上げることができ5段階で設定できます。


左下から時計回りに「なし、弱め、標準、強め、さらに強め1、さらに強め2」と設定が異なります。アクティブDライティングはハイライトの白飛びを抑え、シャドウの黒潰れを軽減する機能で、カメラに搭載されていますが、RAWデータの場合は現像ソフト上で再度設定を変更することができます。ヒストグラムを見ると効き目が強くなるにつれ、シャドウ側のヒストグラムが徐々に中央に寄ってきているのが判ります。
当たり前ですが、カメラでアクティブDライティングを設定しても、現像ソフトで設定しても結果は同じです。
後述のトーンカーブの部分で、シャドウを持ち上げ、ハイライトを下げ、若干コントラストをプラスすることでも、Dライティングと同じ処理はできますが、Dライティングの方が綺麗にシャドウが持ち上がります。


明るさと色の調整の設定画面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コントラストは画面全体の明暗と色彩の差のことで、コントラストが高くなるほど明暗差が強くなり、明るい部分はより明るく暗い部分はより暗く、それに伴いクッキリとした画像になります。逆にコントラストが低くなると明暗差が小さくなり、のっぺりとした画像になります。
彩度は色の濃さのことで、プラスにするとより鮮やかに、マイナスにすると色味が抑えられます。
ハイライト&シャドウはそれぞれ、数値が大きくなるほど、ハイライトは明るい部分の明るさが抑えられ、シャドウは暗い部分の明るさが明るくなります。
DライティングHSは、数値が大きくなるほど、明暗差が小さくなり人の眼で見た時に近い画像になります。(効き目が強くなります。)


下段からコントラスト、彩度、ハイライト、シャドウのスライダーを最大限に動かしたものです。実際にはここまで極端に動かすことはなく、画像を見ながらスライダーを調整します。

DライディングHSのスライダーを動かしたもので、左側が数値50、右側が数値100です。
アクティブDライティングと同じ機能ですが、アクティブDライティングがRAWデータにしか適用できないのに対し、DライティングHSはJPEGやTIFF画像にも適用できます。
画像を見ると分る通り、同じ最大限でもアクティブDライディングは自然に全体の明るさが均一になるのに対し、DライティングHSは過剰にシャドウが持ち上がりハイライトが落ちているので、違和感が有ります。そのためRAWデータの場合はアクティブDライティングを使用するべきです。


トーンカーブとレベル補正の設定画面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トーンカーブは明るさやコントラストを調整するための項目で、名前の通り色調を曲線で調整します。
トーンカーブの後ろにある山はヒストグラムです。

 

 

 

 

 

 

 

R,G,Bの各色を別々に操作することも可能です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LCHエディターの明度でも全く同じトーンカーブを出すことができますが、レベルとトーンカーブとの違いは、レベルとトーンカーブが操作すると色も変化するのに対し、LCHエディターは明暗だけを調整することができます。

トーンカーブ  =  色も変化する
LCHエディター =  色は変化しない

 

 

 

 

 

 

 

トーンカーブは上半分がハイライト、下半分がシャドウで、中央を斜めに横切る線を上下に操作することで使用します。

使い方はアンカーポイントと言う点を任意の場所に打って線を動かします。
トーンカーブは連続した線を上下に操作するので、上の画像のように一部だけを上下させたい場合は、複数のアンカーポイントを打って調整します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この4つは代表的なトーンカーブの動かし方です。

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①ブラックポイント
 画像で黒となる部分を選択するとその部分が正しい黒色になります。
②ニュートラルポイント
 画像でグレーとなる部分を選択するとその部分が正しい黒色になります。
③ホワイトポイント
 画像で白となる部分を選択するとその部分が正しい白色になります。
④アンカーポイント
 画像の任意の部分を選択すると、ヒストグラム上にその部分の明るさや色の部分のポイントが打たれます。

これらはトーンカーブ上ではなく実際の画像をクリックして使用します。

 

ブラックポイント指定前 ブラックポイント指定後

 

 

 

 

 

 

 

 

厳密にはそれぞれ、黒はそれより暗い色は黒、白はそれより明るい色は白になります。
この場合だと、画像右下青い丸の部分辺りをシャドウポイントに設定したので、それより暗い部分は黒色として認識されるようになりました。
トーンカーブ上も、指定部分より暗い部分の線が地面についているのが判ります。
ホワイトポイントの場合は逆に、指定した部分より上の色が白として認識されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じようにトーンカーブ上でも強制的に黒と白の上限下限を選択させることも可能です。
上記の画像はPhotoshop上でグレーからホワイトへのグラデーションを作ったものです。右上のヒストグラムに注目するとビフォアー画像はヒストグラム左側がスカスカです。これを強制的に黒にするために、ヒストグラム上のスカスカの部分までトーンカーブの入力下限をスライドさせてグレーを黒として強制的に認識させました。アフター画像ではヒストグラム上のスカスカが消え黒になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

NX Studioの場合はトーンカーブ上の赤丸で囲った部分をスライドさせることで強制的に黒や白の上限下限を選択させることもできます。

ガンマは中間値を決めるもので、露出の中間値が変化します。スライダーが右(数値が小さい)になると暗くなり、左(数値が大きい)になると明るくなります。トーンカーブは連続する線なので、ハイライトやシャドウにも影響しますが、あくまでも中間値を暗く(明るく)するものなので、トーンカーブ上に1点打って曲線を変えるものに比べ、ハイライトやシャドウへの影響は少なくなっています。

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LCHエディターの設定画面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LCHエディターは彩度、色相、カラー明度、明度を調整するための項目で、各色を個別に調整することが可能です。
このうち明度はトーンカーブと重複するので省きます。

 

 

スポイトアイコンで変更したい画像の色をクリックしてダイレクトに選択します。

 

 

グレーを除外にチェック入れると、グレーとそれに近い色が変化しなくなり、グレーの周囲の色被りを抑えることができます。
この項目は彩度調整時のみにオンオフでき、それ以外の項目選択時は暗転し選べないようになっています。

幅は、数値が小さい程ピンポイントで色を調整でき、数値が大きい程指定した色の周囲の色も変化します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色相では幅に加え、角度の選択ができます。
この角度は数字が大きい程一度に調整可能な色相の範囲が広がります。

 

 

 

 

 

 

 

同じ調整を角度を変えて表示しました。
60°の方が細かく表示されているのが判ります。

 

 

 

 

 

カラーブースターは彩度を増すための項目です。
人物と風景があり、違いは肌色に影響を与えるかどうかです。

風景 人物

それぞれ数値を100にしたものですが、人物が肌色の彩度を無視しているのに対し、風景では等しく彩度が増しています。

 


以下順次加筆中

 

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